ホーム トピックス 自然農法・自然栽培とは?代表的な農法とその特徴

自然農法・自然栽培とは?代表的な農法とその特徴

農薬や化学肥料に頼らずに作物を育てる栽培方法は、有機農法や有機栽培と呼ばれています。その中でも、有機資材をほぼ使わない、あるいは意図的には一切使わない形で、より自然に近い状態で作物を育てる方法は、自然農法や自然栽培と呼ばれています。

今回は、その中でも代表的な農法である「自然農法」「自然農」「協生農法」「自然栽培」を取り上げ、それぞれの特徴や違い、そしてノカノワの立ち位置もあわせて紹介します。

なお、「自然農法」という名称は歴史的に複数の系譜で使われており、大きく2つの流れがあります。記事内ではそれぞれ分けて紹介しています。

主な農法とその特徴

自然農法(福岡正信系)

「不耕起・無施肥・無農薬・無除草」の四無主義を掲げる農法です。「粘土団子による種まき」など独自の方法でも知られ、農法というよりも自然哲学として国際的に広まっています。

代表者:福岡正信さん(愛媛県)

自然農法(岡田茂吉系)

世界救世教の創始者・岡田茂吉の思想を源流とする農法です。肥料・農薬を使わないことを基本としつつ、耕起は否定しません。宗教的背景を持ちながらも、研究・普及団体を通じて各地で実践が広がっています。

代表的な団体:MOA自然農法、秀明自然農法、自然農法国際研究開発センター(長野県)など

自然農

不耕起・無施肥・無農薬を基本とし、草や虫との共存を重視する農法です。作物・草・虫・土など、すべての生命と対話するように育てる姿勢が特徴で、農法というより「生き方」として実践されることも多いです。

代表者・団体:川口由一さん(奈良県)、赤目自然農塾(三重県)など

協生農法

多様な植物を密植し、生態系の循環を活かす設計思想に基づく農法です。肥料や農薬を使わず、人の手も最小限にとどめます。作物・草・虫が共生する環境を意図的につくり出すことが特徴です。

代表者:大塚隆さん(三重県)など

自然栽培

木村秋則さん(青森県)が確立した無肥料・無農薬の栽培方法を起源とし、現在では農薬や化学肥料に頼らず自然に近い形で作物を育てる栽培方法の総称として使われることもあります。統一された定義はなく、有機資材の使用や耕起の有無など、実践の内容は農家さんによってさまざまです。

代表的な実践者・団体:木村秋則さん(青森県)、自然栽培全国普及会 など

農法ごとの比較表

農法名 耕すか 草や虫との関わり 特徴 主な実践者・団体
自然農法(福岡正信系) 不耕起 完全共存 四無主義を掲げ、思想性が強い 福岡正信さん(愛媛県)
自然農法(岡田茂吉系) 基本は耕す 共存重視 宗教的背景を持ち、研究・普及も行う MOA自然農法、秀明自然農法、
自然農法国際研究開発センター(長野県)
自然農 不耕起 完全共存 命と向き合う「生き方」としての農 川口由一さん(奈良県)、赤目自然農塾(三重県)
協生農法 不耕起傾向 完全共存 生態系全体を設計して共生環境をつくる 大塚隆さん(三重県)など
自然栽培 農家さんによる 農家さんによる 土と植物の力を引き出す。
肥料や農薬に頼らない農法の総称として使われることもある
木村秋則さん(青森県)、
自然栽培全国普及会

まとめ:農法名にとらわれない

ここで紹介した農法はいずれも、農薬や化学肥料に頼らないことを基本としていますが、全国で統一された定義や基準があるわけではありません。

同じ名称でも、実際の内容や考え方は土地や人、環境によって異なります。
たとえば「自然栽培」という言葉ひとつをとっても、緑肥や菜種かすなどの有機資材を使いながらそう呼ぶ農家さんもいれば、そうした資材を一切使わない農家さんもいます。
どちらが正しいということではなく、その農家さんの考え方や土地の条件に応じた実践があるということです。

共通しているのは、自然の力を信じ、作物や土と向き合いながら育てていく姿勢です。
どの農法が正解ということではなく、その土地や人、作物に合わせて工夫を重ねながら、自然とともに育てる営みが、今も各地で続けられています。

ノカノワの立ち位置

ノカノワは、特定の農法だけを推奨したり、優劣をつけることはしません。
私たちが大切にしているのは、名前ではなく、その農家さんが「どのような環境で」「どのような考えを持って」「どのような農業」をしているのかという点です。

農薬や化学肥料に頼らない理由は農家さんによってさまざまです。
環境を守るため、安心できる食べ物をつくるため、次の世代に命をつなぐため。
その背景には、その土地の気候や土質といった環境条件、そして農家さんが大切にしている思いや価値観があります。

農法の名称や手法の違いも、いい・悪いで判断することはなく、そうした選択のひとつひとつにある農家さんの経験や思いを、そのまま受け止めることを大切にしています。
そうした理由や背景を、正確でわかりやすい言葉で伝えることがノカノワの役割です。

農法名だけでは伝わらない現場での工夫や自然との向き合い方、そして農家さんの思いなどを紹介することで、互いの理解が深まり、新たなつながりが生まれると考えています。

書籍

福岡正信『わら一本の革命』春秋社、1975年
川口由一『完全版 川口由一 自然農』ワン・パブリッシング
舩橋真俊 編著・大塚隆 監修『協生農法実践マニュアル 2016年度版』ソニーコンピュータサイエンス研究所(無料公開

Webサイト

福岡正信自然農園 公式サイト https://f-masanobu.jp
一般社団法人 MOA自然農法文化事業団 https://moaagri.or.jp
赤目自然農塾 公式ウェブサイト https://akameshizennoujuku.jimdofree.com
自然栽培全国普及会 https://shizensaibai.org