ホーム トピックス 【初心者向け】家庭菜園・農業用語集!元農園スタッフ、現家庭菜園実践者が基本を解説

【初心者向け】家庭菜園・農業用語集!元農園スタッフ、現家庭菜園実践者が基本を解説

「ウネってなんですか?」
これは私が農業法人での研修初日に、先輩に聞いた言葉です。

それまで農業に触れてこなかった私にとって、農業用語は知らない言葉だらけで、最初のうちはまったくわかりませんでした。

そこで、これから農業や家庭菜園を始める初心者が、最初の段階でつまずかないために、「基本の農業用語」を一覧にしてみました。

まずは畑の見た目に関する言葉から、順を追って分かりやすく解説します。

1. 基本用語編

まずは、畑に行ったときに目に見える基本用語です。

1-1. 圃場(ほじょう)

プロが使う「畑や田んぼ」の言い方

農家さんや専門書は、畑のことをよく「圃場」と呼びます。「うちの圃場では〜」と言われたら、「うちの畑では〜」という意味です。

1-2. 畝(うね)

野菜たちが育つ「土のベッド」

畑の土を細長く直線状に盛り上げた山のことです。このベッドをクワや機械で作る作業のことを「畝を立てる(畝立て)」と言います。

実は、畑の環境や育てる野菜によって、立てる畝の形が違います。

  • 高い畝(高畝:たかうね): 土を高く盛るタイプです。最大の理由は「水はけを良くするため」。雨が降っても水が下に流れ、デリケートな野菜の根っこが腐らず健康に育ちます。
  • 低い畝(平畝:ひらうね): あまり高さを出さず、平らに近くするタイプです。水はけが良すぎる砂地の畑や、夏場に土がカラカラに乾くのを防ぎたいとき(保水したいとき)などに使われます。

1-3. 株間(かぶま)

野菜がのびのび育つための「パーソナルスペース」

苗と苗の間のすき間のことです。種の袋の裏などに「株間30cm」などと書かれています。ここが狭すぎると、お互いにギューギューになって日光や栄養を奪い合ってしまうため、野菜ごとに快適な距離が決まっています。

1-4. マルチ(マルチング)

雑草や病気を防ぐ、畑の「保護ビニールシート」

畝(土のベッド)を覆っている黒や透明のシートのことです。太陽の光を遮って厄介な雑草が生えるのを防ぐだけでなく、土の水分をキープしたり、雨の泥跳ねによる病気を防いだりしてくれる、家庭菜園でも心強い味方です。

1-5. 行灯(あんどん)

植えたばかりの赤ちゃん苗を守る、ビニールの「風よけガード」

定植(植え替え)したばかりの小さな苗のまわりを、4本の支柱と透明なビニールや不織布などで四角く囲う覆いのことです。市販の行灯資材のほか、肥料袋を代用することもあります。昔の照明器具「行灯」に形が似ていることからこう呼ばれます。まだ寒さや風が強い春先などに、苗を保温し、強風で折れるのを防ぎ、さらに害虫からも守ってくれる、大切な初期シェルターです。

1-6. トンネル

畑の上につくる野菜のための「小さなビニールハウス」

畝の上に細いアーチ状の骨組みを立て、その上からビニールや網(ネット)をトンネルのように被せるセットのことです。主に、まだ寒さが残る時期に「中を温めて寒さから守る(保温)」ために被せたり、虫が入らないように「防虫ネットを張る」ために使われます。

2. 栽培用語編

ここからは、種まきから日々のお世話、収穫まで、実際のアクションに関する栽培用語です。

2-1.  播種(はしゅ)

農業界での「種まき」のフォーマルな呼び名

文字通り種をまく作業のことです。家庭菜園のステップでは、時期を表す言葉として「秋播き(あきまき)」や「春播き(はるまき)」といった使い方でよく登場します。

2-2. セルトレイ(プラグトレイ)と ポット

あらかじめ苗を育てるための容器

種を畑に直接まくのではなく、あらかじめ小さな容器で苗を大きくしてから畑に植えるときに使う資材です。

  • セルトレイ: 卵のパックが小さく大量に繋がったような形の黒い容器です(お店の売り場では「プラグトレイ」と書かれていることもあります)。1つの穴(セル)に1粒ずつ種をまき、たくさんの苗を効率よく育てるのに使います。
  • ポット(ポリポット): 黒などの柔らかいビニールで作られた、1個ずつの小さなカップです。セルトレイよりも土がたくさん入るため、苗をもう少し大きく育てるための個室として使われます。

2-3. 間引き(まびき)

元気な子を残して育てる「選抜オーディション」

種をまいてたくさん出てきた芽の中から、育ちの悪いものをハサミで切ったり抜いたりして、スペースを空ける作業です。もったいない気もしますが、残ったエリートな芽に栄養を集中させるために欠かせません。

2-4. 徒長(とちょう)

大きくなったと勘違いしやすい、ひ弱な「もやしっ子状態」

日光不足などが原因で、茎がヒョロヒョロと細長く伸びてしまった状態です。一見育っているように見えますが、実は非常に折れやすく病気にも弱い、黄色信号のサインです。

2-5. 定植(ていしょく)

赤ちゃん苗を、一生を過ごす「本番のベッド」へお引っ越しさせること

トマトやナスなどは、最初から広い畑に種まきするのではないため、セルトレイやポットで大切に苗を育てます。しっかり体力がついた段階で、広い畑の畝に植え替える本番の作業を「定植」と言います。

2-6. 活着(かっちゃく)

お引っ越しした苗の根っこが、新しい土に無事「根付く」こと

定植(植え替え)をした後の数日間は、苗にとって新しい環境に慣れるための大切な期間です。苗がしおれずに、新しい土になじんで自力で根を伸ばし始めた状態を「活着した」と言い、ここまで来ればひと安心です。

2-7. かん水(かんすい)

カラカラの土に命を吹き込む「水やり」

ジョウロやホースで植物に水をあげることです。専門書やブログなどでは「灌水・潅水」という難しい漢字で書かれることもあります。ただ水をまくだけでなく、土の中に新しい空気を送り込む役割も持っています。

2-8. 誘引(ゆういん)

実の重さや風に負けないよう、支柱に茎を固定してあげること

トマトやキュウリなどは、実が重くなると自重や風で倒れてしまいます。そうならないように、立てた棒(支柱)にヒモなどで茎を優しく結びつけ、上へ上へと育つように誘導してあげる作業です。

2-9. 一番果(いちばんか)

株の将来を決める、生まれて初めてついた「最初の実」

トマトやナスなどで、一番初めになる実のことです。
初めての実ができると嬉しくて完熟するまで残したくなりますが、トマトやナス、ピーマン、パプリカなどは「小さいうちに早く収穫する」ことが推奨されています。株がまだ小さいうちに大きな実をつけると栄養を奪われ、その後の収穫量が落ちてしまうことがあるからです。
一方、キュウリやオクラは実が軽く成長も速いため、一番果を特別に早取りしなくても株への影響は比較的少ないとされています。
またイチゴは一番果が最も大きく品質も高いため、むしろ大切に育てるのが基本です。

2-10. 芽かき・摘心・摘果(めかき・てきしん・てきか)

美味しい実を作るための、引き算の「3大カット作業」

植物は放っておくと葉っぱや枝ばかりを増やしてジャングル化してしまいます。栄養の「選択と集中」を行うために、以下の3つのカット作業を行います。

芽かき: 茎と葉っぱのすき間から出てくる、余計な「脇役の芽(脇芽)」を取ること。

摘心: これ以上上に伸びないように、茎の「てっぺんの芽」を切り落とすこと。上に伸びるのを止めると、今ある実に栄養が行き渡ります。

摘果: 実がつきすぎた時に、形の悪い実などを小さいうちに間引いて、残した実に栄養を与えること。

3. ステップアップ編

最後に、目に見えない「土の中の仕組みやトラブル」についてです。

3-1. 団粒構造(だんりゅうこうぞう)

「水はけ」と「水もち」を両立した理想の土

土の粒子が小さな「団子(だんご)」のようになって集まっている状態です。団粒と団粒の間にはミクロの隙間(空気と水の通り道)が保たれているため、雨が降れば水がスーッと染み込み、根っこが元気に伸びていける理想的な土の状態です。
なお、人の足で踏み固めたり耕耘機で過度に耕したりすると、この団粒構造は壊れやすくなります。
畑の中を歩く通路を決めておくなど、土を踏み固めないよう心がけることが大切です。

3-2. コンパニオンプランツ(共栄作物)

相性のいい関係

異なる種類の野菜を近くに植えることで、病気を防いだり、虫を遠ざけたり、生育を良くしたりするお互いに良い効果が期待できる組み合わせのことです。
例えば「トマトの隣にバジルを植えると虫が寄りにくくなる」「ネギをキュウリやトマトの根元に植えると土壌病害を抑えられる」「マリーゴールドを畑のあちこちに植えると線虫(センチュウ)を減らし、さまざまな虫を遠ざける」といった効果が古くから言われています。
ただし、効果には個体差や環境差もあるので注意が必要です。

3-3. アレロパシー(他感作用)

相性の悪い関係

植物が根や葉から出す物質が、他の植物の成長を抑制することがあります。
これを「アレロパシー」と呼びます。
例えばネギ類とマメ類(枝豆など)は互いの生育を妨げるとされており、近くに植えない方が無難です。

3-3. 連作障害

同じ場所で同じ野菜を続けて植えると、育ちが悪くなる現象

トマトやナスなど、特定の野菜を同じ場所に毎年植え続けると、土の栄養が偏ったり、その野菜が大好きな特定の病気や虫が集まってきてしまいます。
それを防ぐために、毎年植える場所をローテーションすることを「輪作(りんさく)」と言います。

おわりに:教科書には載っていない?地域ごとの「農業方言」

ここまで、全国どこでも通じる基本の専門用語をご紹介してきましたが、実は農業の世界には「その地域や農園でしか通じない独特な呼び方」があります。

ちなみに、私が働いていた徳島ではこんな言葉が使われていました。

  • ベトコン:秋頃から畑に出現する、大人の身長くらいの鉄パイプ製・小型ビニールハウスのこと。
  • アカ:収穫が終わった後の野菜のゴミ(残渣)のこと。「あかを片付ける」「あかを抜く」といった使い方をします。

今回ご紹介した言葉は農業の基本的な用語ですが、農業用語にはまだまだいろんなものがあります。
でも、無理に覚える必要はありません。やっていくうちに自然に覚えていくからです。

大事なことは楽しむこと。
まずは難しく考えず、ぜひ野菜づくりの楽しさに触れてみてください。

NHK出版「みんなの趣味の園芸」園芸用語集
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サカタのタネ「園芸通信」園芸用語集
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